青の淵から

Sep 30
“『わたしは口がきけないの』
とっさにわたしはメモを破り、そう走り書きして彼らに突き出した。二人は顔を見合わせ、肩をすくめ、黙って遠ざかった。書き心地のいいペンだった。ブルーのインクがよどみなく滑っていった。”
小川洋子「ホテル・アイリス」